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Imaginary fast food shop

展示空間に入り1つ目の部屋では、ファストフード店舗をモチーフとしたインスタレーションを制作した。
空間内では、バグを起こした人物や宙に浮かぶ子ども、ぐにゃりと歪んだバーガーなど、現実では起こり得ない現象が展開されている。

ファストフードのチェーン店は、世界中どこでも同じ味と体験を提供する。その均質化された風景は、まるで世界中にコピー&ペーストされたかのようであり、どこにいても同じ場所にいるかのような感覚を生み出す。

本作では、その「コピペされた世界」にバグのような歪みを挿入することで、均一に整えられた現実に微細なズレを生じさせる。それは、ゲーム内で発生するエラーのように、本来見えないはずの構造や違和感を露出させる試みである。

日常的で親しみのある風景の中に生じる非現実的な現象を通して、本作は私たちが無意識に受け入れている「当たり前の世界」の不確かさを問いかける。

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SUPER《Fiction》MARKET

ファストフードの展示を抜けて2つ目の部屋では、スーパーマーケットの店舗をモチーフとしたインスタレーションを制作した。

旅行やリサーチで海外に出かけた際、現地のことをよく知るためにその場のスーパーマーケットに必ず訪れる。
そこで感じるのは均質化された商品や陳列、どの都市にも反復されるような空間構造である。

本作では、私たちの一番身近であるスーパーマーケットという場所にフォーカスし、「バグやエラーが起きたマーケット」をフィクションとして立ち上げる。
歪んだ商品や破綻した配置、現実では起こり得ない現象が空間内に介入することで、日常的な消費の場に違和感が生じる。

それは、私たちが見慣れているはずの風景の背後にある構造や不確かさを露出させる試みである。

Surfing the Internet to the Moon

3つ目の部屋ではSurfing the Internet to the Moonのインスタレーション作品と、対面にWindowsのモチーフで制作した小作品を展示した。

大きい作品はWindows上に現れるキャラクター「かいるくん」をモチーフに、コンピュータのモニターを想起させる構造として制作された。

画面内には、お絵描きソフトによって描かれた月が配置されており、作品タイトル《Surfing the Internet to the Moon》は、このイメージを指し示している。
本来、私たちが目にすることのできない月の裏側は、この作品においては前面と背面に同一のイメージが配置されることで可視化される。
それは、物理的には到達できない領域へ、インターネットを介してアクセスするという想像力の表れでもある。

作品内には、バグやグリッチの表現が随所に用いられており、デジタル空間における不安定さや歪みを示唆している。
また、背景にはWindowsの初期設定として広く知られる丘の風景が引用されており、現実とデジタルの境界が曖昧に重なり合う。

本作は、スクリーンの内側に広がる仮想的な空間と、私たちが認識する現実との関係性を問い直す試みである。

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​アイロンビーズLABO

「アイロンビーズラボ」では、来場者が自由にビーズに触れ、下図の上に配置したり、色ごとに仕分けたりと、素材そのものに直接関わることのできる参加型の空間を構成した。

空間内には、作品制作の過程を示すパネルや過去の映像資料が展示されており、完成された作品の背後にある思考や手の動きを辿ることができる。

本空間は、作品を鑑賞する場であると同時に、制作のプロセスを開示する「実験室」として機能する。
来場者が素材に触れ、試行する行為そのものが、作品生成の一部として立ち上がる構造となっている。

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IMAGINARY FARM

調布市文化会館たづくりのエントランスでは、《IMAGINARY FARM》を展示した。
本作は、北海道で開催されたパラレルミュージアム2023における出展作品であり、日常的な空間の中に牧場を出現させる試みとして制作されたものである。

会場には等身大の牛や鶏などの動物が配置されており、それらはすべてアイロンビーズによって構成されている。
一見すると平面的なパネルのようにも見えるこれらの像は、無数のビーズを一粒ずつ並べることで形成されており、その構造はピクセルを想起させる。

現実の風景の中に現れる非現実的な牧場は、デジタルイメージのような質感を帯びながら、物質としての存在感を伴って立ち上がる。
本作は、日常と非日常、デジタルと物質の境界が交錯する風景を提示するものである。

個展タイトル: 現実とエラー

​制作年: 2025年

展示場所:調布市文化会館たづくり

​撮影:松尾宇人
 

コンセプト:

本展では、部屋を移動するごとに異なる風景が立ち現れる構成とし、過去のインスタレーション作品を再配置した。
その体験は、インターネット上をサーフィンするように、連続的に場面が切り替わっていく感覚を想起させる。

展示空間に合わせて各作品は一部再構成されており、調布市文化会館たづくりという場に応答する形で、新たな関係性が生み出されている。個々の作品を単体で提示するのではなく、空間全体をひとつの体験として設計することで、沼田の作品世界が立体的に立ち上がることを意図した個展である。

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